
もう先週末のことになりますが、上野の文化会館で行われたアクラム・カーンとシルヴィ・ギエムのデュエット作品、Sacred Monsters (聖なる怪物たち)を観に行ってきました。
アクラムはインドのカタック舞踊とコンテンポラリーダンスを組み合わせてロンドンで大ブレークした振付家です。彼のムーヴメントのクオリティーはとにかくすごい!!まったくブレのない、力強い動き。伝統芸能で身につけた確かなテクニックを、コンテンポラリーダンスのフィールドで巧みに使いこなします。
クラシックバレエ会の女王であるシルヴィの身体は息を呑むほど美しかった。すらりと長身で、何をしても一切重さを感じさせない。空気のようなダンサーです。
でもこの二人が一緒に踊るなんて想像も出来ませんでした。
背の低い、がっちりタイプのアクラムと、彼より全然背の高いスラーっとながーいシルヴィ。アクラムと踊ったら壊れてしまいそう。。。と思っていたのですが。
しかしこの二人の身体がぴったりなのです。ぴったりという言葉では言い表せないくらい。
ちょっとこの映像を見てみてください ↓
特に二人が手をつないで踊る場面、まるでダンスが「呼吸」のように「必要なもの」に見えます。
私はダンスを創る際に、「必然性のある動き」についてこだわりたいと思っています。
スポーツ選手の動きは美しい。それは無駄がないからです。嘘がない。すべての動きが彼らにとって必要で、だから美しい。ダンスもそうあればいいのに、と思うのです。
もちろんダンスの動き自体そもそも私達の生活の中で、「必要」なものではないわけですが、あたかも「必要」そうに見せることができないか、という意味です。そういうイルージョンを創造することこそが、ダンスの作品を創る目的だと私は考えています。
そういう観点からして、この作品の様々な動きは「必要」でした。この二人のダンサーにとって、動きは呼吸のように必要不可欠に見えました。そういう作品は、構成などが観ていて気にならなくなってしまいます。空間の使い方や、それぞれのシーンの長さなどの重要性は消えてしまい、ダンサーの身体をただただ目で追っていたくなります。そういう作品に出会えることは本当にごく稀ですが。
ダンス全般にどうしてもテクニックが重視される傾向があるなか、この二人のテクニックは単なる道具でしかないようでした。その道具を「どう使うか」が大事で、何をやるか、はむしろどうでもいいのでしょう。そこからやっと、ダンスは芸術に変わっていくのだと確信しました。
これからもそういう本物のダンスが観たいな、と久しぶりに笑顔いっぱいで劇場をあとにしました。
音楽はすべてライブ。ライブの演奏を使ったダンス作品は、個人的に気が散ってしまうのであまり好まないのですが、この作品では、それこそダンサーたちの動きが本当にナチュラルだったせいだと思いますが、すごくしっくりきていました。これはあくまで私の見方ですが、作りあげられた、非常に不自然なダンス、いかにも「頑張ってこの動きをやってます」というのが見えてしまうダンサーと、今、そこで音を出しているナチュラルなアプローチのライブミュージックは多くの場合合わないと思うのです。
あとはステージデザインが大変印象的でした。
ビデオにもちょっと写っていますが、白い雪山のような、雲のようなデザインです。
照明がついて、最初に目に飛び込んできたのがステージデザインでしたが、全体を立体的にする効果を持ったすばらしいデザインに興奮してしまいました!
ああ見えて、くるくると小さく折りたたんで持ち歩けるそうです。びっくりします。
カタックも含めて伝統的な舞踊や、クラシックバレエなどは、観客のほうに身体を常に向けて踊るため、どうしても空間の使い方が平たくなってしまいがちで、アクラムの作品も2Dな印象が強いのですが、このステージデザインが全体の空間をしっかり立体的なものに創り上げていたように思います。
デザイナーの方は、Harui Shizukaさんという日本人の方です。公演のあとに少しだけお話しましたが、あのダイナミックなデザインからは想像できないような、非常にフレンドリーで、美人なやさしそうな方でした。伝統舞踊のカタックにデザインするのは、日本の歌舞伎にデザインするようなものだから難しかった、とおっしゃっていました。彼女のWEBサイトはこちらです↓
すっかり長いブログになってしまいましたが、いいダンスを観ました。
動きももちろんのこと、ステージデザイン、音楽、照明、すべてがトータルで創られている作品になかなか出会えないのが現実です。そんな中久しぶりに「ダンス作品」を観させてもらった気がしました。
もしこのブログを読んだ方の中にもこの作品を観たことがある方がいたら、是非感想を書き込んでください!他の方がどう思われたかも知りたいです☆
さやでした。









